「 受け継がれる意志、時代のうねり、人の夢。
人が『自由』を求める限り、それらは決して
―止まらない。」
―「海賊王」ゴールド・ロジャー
時は1946年。
太平洋戦争終戦直後の、とある島国―。
富、名声、力。
この世のすべてを手に入れた、
「網元王」、鬼頭.D.千万太(ちまた)。
彼は不治の病に冒されていた。
彼の死に際に放った一言は、ある男を海へと駆り立てた。
「 死にたくない・・・。オレは死にたくない・・・。
オレが帰ってやらないと、3人の妹が殺される・・・。
今まで黙っていたが、オレは君が誰だか知っている。
君はある事件を解決した、凄腕の・・・。
ゴホッ・・・。
頼む・・・。
オレの代わりに、オレの、故郷へ行ってくれ・・・。」
千万太の言う故郷とは、
グランドライン後半の海、「瀬戸内海」に数多点在する島のひとつ。
他との交流が極端に少ない、静寂な孤島。
空白の100年に隠されていたという海賊伝説は、
今もこの島でひっそりと生きていると言われている。
千万太に遺書を託されたひとりの男は、
ログを辿って、船でその島へ向かうなか、
千万太の最後の言葉を思い出していた。
「 オレが帰ってやらないと、3人の妹が殺される・・・。
頼む・・・。
金田一君。」
穏やかな海に包まれた、おとなしい島。
しかし、
古来より恐れと忌みを込めて、
人々はその島をこう呼ぶ―。
岡山県笠岡市から約40キロメートル。
笠岡市笠岡諸島、六島(むしま)と呼ばれる島がモデルだそうだ。
岡山が多く舞台となっているから、ということもあって、
「金田一耕助」シリーズは中学生の時に読み漁った。
オレの読書人生におけるミステリーの扉を開いたのは、
横溝正史であることは間違いない。
やっぱり暑い夏にはミステリーを。
横溝正史を読んで、暑さを忘れて岡山へ、てのも悪くない。
ちなみに「獄門島」(横溝正史著)は、
過去2回行われた週刊文春「東西ミステリーベスト100」(1985年、2012年)にて、
その2回とも国内編の第1位である。